SPACE SHIFT

2022
  • # Web Design
  • # Visual Design
  • # Concept Making
  • # Copy Writing
  • # Technology Philosophy
掌の上のモバイル通信から、現在地と目的地をつなぐ位置情報、数時間後の天気予報まで、人工衛星は通信・測位・観測の面で生活に密着した存在となった。一方で、地球の隅々までヒトによる開発の手が入った時代においては、衛星テクノロジーを用いるヒトの振る舞いにもある種の作法が求められる。

人間の感覚や経験だけを過信することなく、それを補助するために宇宙からの視点を借りる柔らかいスタンス。地球観測衛星のデータ解析システムの開発を通じて、その実現を目指す宇宙ベンチャーSPACE SHIFT社のコーポレートサイトのリニューアルプロジェクトに参画。技術哲学の設計からキービジュアルの制作、経営理念の策定フォロー、WEBサイト全体のリデザインを担当した。
01

人間社会と自然環境を媒介する道具

企業独自の「らしさ」を追求する前に、「道具」としての人工衛星の本質的な価値をさがす過程をとった。光の波長レベルではヒトの目が捉える世界は可視光線の領域に限られる。電波の仕組みを応用する衛星データはその認識範囲を拡張し、ヒトの視点をさまざまな領域にシフトさせる力を持つ。一方で、衛星データ自体はあくまで地球の状態や変化をリアルに映すものであり、それをどう読みとるのかはヒトに委ねられる。その前提を踏まえ、社会活動(Human Society)と自然環境(Environment)の文脈を媒介する位置に人工衛星を置くことで、衛星データを起点に多視点で持続可能な行動が検討・形成される状態を促すことを志向した。
02

「ふれる」を再建するテクノロジー

人工衛星には人間の眼やカメラと同じ原理を用いた「光学衛星」と、電波の仕組みを応用した「SAR衛星」があり、同社は後者の解析を専門領域とする。地上の物体そのもの(色や形)を見分ける視覚的な光学衛星に対して、形状や材質といった触覚的な情報を提供するSAR衛星のデータ解析を通じて、地盤のミリ単位の変化といった足下のミクロな変化に触れる。その「ふれる」に近い触覚的なテクノロジーの特徴と、解析データを用いて環境の「手入れ」を行うヒトの姿を両義的に表現する形として、“ヒトと環境が相互に触れ合う状態”をキービジュアルとしてデザインした。
03

社内外における対話のリズムをつくる

VISIONは事業を通じて目指す「社会のかたち」、MISSIONはそれを実現するための「行為」、CONCEPTはそれらに独自の作法をもたらす「哲学」として、経営ステートメントを再定義。衛星テクノロジーの哲学を内包したキービジュアルを鏡にしながら、最終的には社内で検討・練磨されたステートメントを採用。衛星データの存在意義や可能性を現時点で限定するのではなく、社内外にそれを問いかけながら新しい価値を創出していく基盤として、キービジュアルとステートメントの連帯を重視した。
04

科学的な世界に感覚的なダイブを誘う

WEBサイト内では、自社の技術を再分類した「TECHNOLOGY」や、サービスを紹介する「SERVICE」カテゴリーに加え、今はまだサービス化されていないが、これから期待できる解析領域を共有する「PROJECT」カテゴリーを設置。基礎となる技術やその原理だけではなく、未来における可動領域までを展開することで、さまざまなレベル・角度から衛星データの世界にふれることができる設計を施した。また、宇宙から地上を、マクロからミクロを捉える衛星の視点の動きにならい、地上を俯瞰する視点からユーザーそれぞれにとって身近な地上世界にダイブできる感覚的なインターフェイスを実装した。
Members

SPACE SHIFT Inc.

CEO
Naruo Kanemoto
Development Manager
Yuji Kawakami
Development
Tamao Tada

Design Team

Total Director
Keisuke Saeki / 星ノ鳥通信舎
Art Director
Sakura Ito / 星ノ鳥通信舎
Copywriter
Keisuke Saeki / 星ノ鳥通信舎
3D Designer
Takahiro Shinoda
Retoucher
Kazuhito Yamada
Photographer
Tomoya Terada
Photographer
Ryo Tsuchida
Corder
Team Crewto
Translator
Yoshitaka Omiya