INOHANA MUSOUEN

2024
  • # Web Design
  • # Visual Design
  • # Concept Making
  • # Editing
  • # Copy Writing
  • # Art Direction
庭ほど何千何万のことばをつらねても、言いつくすことが難しいものがあるだろうか。自然の産物とも人工の造物ともいえれば、家の内とも外ともいいきれない。あわいな中間地帯でひとを魅了し続ける庭とはいったいなんだろうか。庭は文化だろうか。方法だろうか。はたまた幻想だろうか。

ものがたりの再生と創造。そのための装置あるいは舞台としての庭に、うごかぬ石やたゆたう植物を引用し、その土地やひとのエネルギーを代弁する。そんなリズムを大切にする庭師・猪鼻一帆氏が主宰する京都の造園会社「いのはな夢創園」のWEBメディアの開発を担当。同社をかたちづくる要素を言語からビジュアルまで総合的に設計した。
01

調庭 | 事業を庭的に組み立てる

土石と草木と雨風。庭を構成する三大要素を不変的なもの・流動的なもの・変化をもたらすものとして分類し、事業の組み立てに応用。庭の骨格をなす土石は、庭づくりの根底にあたるフィロソフィーに。庭に表情をつくる草木は、オリジナルな花としてのサービスに。庭に変化をもたらす雨風は、庭の領野をひらくプロジェクトに照応させながら、独自のリズム感をもった事業カテゴリー(語庭 / 作庭 / 開庭 / 遊庭)を設計した。
02

前庭 | 混沌としてなお整然に

次に庭本来の様態(manner)と夢創園の個性(tone)を言語レベルでリストアップし、サイト全体を取り巻く空気やリズムを編集。庭は見かけ以上にさまざまな生きもので賑わい、絡み合い、動いていること。素材単位にものがたりの暗号を仕込む夢想園ならではの作法。これらを線や余白、アシンメトリーな配置などに変換し、さまざまな要素が混在しながらもなお平衡する、庭の微妙なバランス感覚をサイト全体に引き延ばした。
03

語庭 |(ものがたり)の[ 踊り場 ]

大小さまざまな物語の発露を歓待する。独自の庭哲学を「ものがたりの踊り場」というコンセプトに集約。こちら側に配置されたものとあちら側から飛来するものが交差する場所としての庭を、にぎわい(dance)とくつろぎ(rest)が同居する[ 踊り場 ]に見立て、そのリズムに種々の(ものがたり)が誘引・生成される動的な名詞を開発。また、庭をつくる行為を立ち止まって問いかける。矛盾をしなやかに纏った詩をあえて差し出すことで、庭づくりがニンゲン本来のなにかに迫る営みであり、永遠に説明しきれないほどの深度があることを逆噴射させている。
04

作庭 | 庭に流転する音を三一字に

実績としての作庭(WORKS)においては、それぞれの場所とひとが宿す「ものがたり」を庭のなかにセットする上で、どのような視点と技術と素材が動員されたのかをプロセスとして紹介。庭を空間的に絵面でみせるだけではなく、庭ごとに四字熟語と短歌をつくり、庭の景色を時間的に引き伸ばす仕掛けを施した。これは「ながめる」の語源が「長引かせる」にあることから発想したアイデアで、歌で景色を拡張させる日本古来からの遊び技である。
05

開庭 | 海山越えて胸中に至る文脈を

開庭(PROJECT)では、海の外でその土地を翻訳する日本庭園の透体性に帰化したプロジェクトや、日本古来の概念(よりしろ)を庭的に拡張していくプロジェクトを設けるなど、庭の領野をひらくためのプログラムを開発。また、遊庭(COLUMN)と題したコラムでは、庭の上流域(海山)から下流域(胸中)を旅するコンテンツを用意し、庭と社会の接点を継続的に耕すための環境を設計した。
Members

NIWASHI

CEO
Kazuho Inohana

Creative Design

Total Director
Keisuke Saeki
Designer
Sakura Ito
Editor / Writer
Keisuke Saeki
Web Corder
Yusuke Ono(Y小)